伊勢おはらい町 PHOTO BOOK

重機マスター

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僕が生まれ育った我が家をわずか2日で瓦礫の山にしたのが彼だ。

正体不明のキャップを目深にかぶり、重機をまるで手足のごとく自由に操る。
先端に取り付けられた上下2本づつの鋼鉄の爪で40年間そこに建っていた柱や壁を苦もなく破壊していく。
彼こそ、まさにDestroyer。

しかしひとたび重機から降り立つと彼は意外なほど腰が低かった。
「みなさんで冷たいものでも飲んでください」と差し出した祝儀袋に何度も丁寧にお辞儀をしてくれた。
普段は気弱な男なのに白バイに乗ると豹変する漫画のキャラクターがあったが、それに近いと言える。

3時の休憩を終えた彼は再び愛機にまたがり、驚くべきスピードで昨日まで僕たちが台所と呼んでいた場所を瓦礫に変えていく。
僕はただ、プロフェッショナルなその技を息を飲んで見守るだけだった。

ありがたいことに彼の神業のおかげで、僕は長年住み慣れた我が家が解体されていく様子を陳腐なノスタルジーを抱かずに見ていることができた。

祝儀もっとはずんどくんだった…。


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by sakura1733 | 2010-08-09 21:45 | おはらい町